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最適なワーキングチェアは人によって様々であるという話

昨今の社会情勢により、在宅ワーク(テレワーク / Work From Home)をする人が少しずつですが増えているようです。それまでオフィスのデスクで業務をしていたのが突然自宅での長時間作業を強いられるようになったことで、慌てて机や椅子を購入して執務スペースを作っているという様子をちらほら目にします。

僕が在宅ワークを始めたのは、2015 年の 2 月からでした。現在所属している会社が社員のリモートワーク制度を試験的に導入したのがこの頃で、かれこれ5年以上リモート(在宅)ワークをしていることになります。ただし毎日ではなく、週 2~3 日はミーティングや気分転換のために出社していましたが。

在宅ワークをする以前から自宅にはデスクも椅子もありましたが、やはり一日中椅子に座って作業するとなると当時の椅子では厳しいものがあったので、5ヶ月ほどあれこれ検討しまくって納得の逸品を購入しました*(※ 後述)*。

最適なワーキングチェアは人によって様々である

人間工学に基づいたハイテクなワーキングチェアはたくさんありますが、あいにく万人に適した椅子なんてのはありません。なぜなら人の体格や座る際の姿勢といったフィジカルな側面はもちろんのこと、具体的にどのようなデスクワークをするかによって椅子に求められる性能は変わってくるからです。

ワーキングチェアの代名詞的存在といえば、ハーマンミラーのアーロンオカムラのバロンあたりでしょうか。事実、登場から 20 年以上経っているのにずっと売れ続けているようです。

aeron

baron

そんな人気の両モデルですが、あいにくどちらも僕には全く合いませんでした。座面の形状にどうも馴染めず、太腿に緊張状態が続いて却って疲れてしまうんですよね。バロンは前職のオフィスで使っていたのですが、常に太腿が張った状態でした。後から導入されたバロンよりも低価格な椅子の方が遥かに快適だったのを覚えています。

購入検討していく中で店員の方から聞いた話ですが、アーロンやバロンはとても売れている反面、返品・交換の問い合わせがとても多いそうです。ネームバリューだけを頼りにろくな試座もせずに購入し、しばらく使ってから自分に合わないことに気付いて返品してしまうという理屈です。

返品・交換するならまだ良いかもしれません。一番よろしくないのは*「高い金だして買ったんだから、きっと良いに違いない!」*と無理やり自分を納得させてそのまま使い続けてしまう例ですね。で、その結果身体に不調をきたしてしまい、ネット上に悪評をばらまいてしまうと。うん、最悪ですね。

自分の健康に直結する部分なんだから、ネームバリューやネット上の評判なんかに踊らされずしっかり自分の目で見て触って吟味するべきだと思うのですよね。それこそ安い買い物じゃないわけですし。

また、高価であれば良いという話でも無いと考えてます。あくまで僕の個人的感覚ですが、6 万円以上のものであれば少なくとも "粗悪品" は無いと考えて大丈夫だと思います。そこから先は自分との相性や好みだけを頼りに探すのが一番です。EC サイトで適当に見て買うのは絶対にやめた方がいいですよ?

以降はそんな僕が愛用している椅子の話です。

5 ヶ月近く検討してハーマンミラーのエンボディを選択

my-desk

自分の健康に直結する問題なので一切妥協は出来ません。幸い(今も)独りモンなので予算は頑張ればどうとでもなります。長年安心して使い続けられるものを引き当てようと、とにかく時間があれば店舗に出向いて試座しまくりました。

のべ 20 種類は試座したでしょうか。一種類につき最低でも 15 分は座っていろいろと姿勢を変えながら身体の支えや負担を確認したり、座高やリクライニングなど設定できる箇所はとにかく弄り倒しました。店員の方にもたくさん相談して悩みに悩んだ結果、ようやく納得して購入したのがエンボディだったのです。

エンボディはマニアックな椅子…?

embody

ハーマンミラーというと、先述した通りワーキングチェアの代名詞的存在であるアーロンが最も有名です。一方エンボディは知る人ぞ知るといったイメージのモデルで、他の同社製品と比べるとだいぶシェアが低いようです。

ワーキングチェアとひとことで言っても使う人は千差万別です。体格はもちろんですが座り方も十人十色です。

エンボディは後掲姿勢で座ることに完全特化しています。つまり前傾姿勢やあぐらをかいて座る人を全く考慮していません。

embody ※ 公式サイトより

座面も(ある程度は調整可能ですが)かなり広く作られているため、比較的大柄な人が座ることを前提としています。身体にしっかりフィットして支えることを目的としているので、小柄な人だとサイズが合わず椅子と身体の間に隙間が生じて上手く支えられないというわけです。

後掲姿勢が長時間続くデスクワークって何があるでしょうか?

あまり詳しくはないのですが、プログラミングやライティングなど論理的に思考しながらアウトプットしていく作業の時は後掲姿勢が適しているみたいです(もちろん個人差はあると思いますが)。

つまりエンボディは ある程度大柄で後掲姿勢で座る癖のあるプログラマーもしくはライター業の人 に適したワーキングチェアということです。だいぶニッチなターゲット層ですね。そりゃ広まりませんわ。

店側も客のユースケースがここまで明確に一致しない限りは勧めないと言ってました。まぁ値段も値段ですしね。

安心(?)の 12 年保証、4 年半快適に使ってます。

ハーマンミラー製品は購入から 12 年間の保証が付きます。といってもこの期間は必ず無償対応してくれるわけではないですが、たとえ有償でもサポートが受けられるのはありがたいことだと思います。本社はアメリカ合衆国ですが、日本国内にもしっかりとサポート体制があるので言葉の壁の心配はありません。

諸事情あって一度だけ背もたれの布地を張り替えましたが、新品同様に綺麗にしてくれました。ただ、マイナーなモデルのため資材を輸入するのに 2 ヶ月以上待たされましたが…。

とはいえ、この椅子のおかげで長時間のデスクワークも快適にこなせるようになりました。特殊なデザインをしていますが、とても洗練されていて部屋の雰囲気との調和も取れており、毎日愛用しています。

今なら言える。この椅子なしの生活にはもう戻れない。