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KEF のワイヤレススピーカー LSX を購入した話

DTM 用に組んだデスクトップオーディオ環境からの卒業

大学生の頃に趣味で DTM ( = Desktop Music / パソコン等を使った音楽制作 ) をはじめた関係で、自宅のデスクトップオーディオ環境はもっぱらそれ用に組むようにしていました。その後何度か買い増し・買い替えを経て下記の構成に落ち着いたのが 10 年ほど前。

Fostex PM0.5n

DTM 用といっても仕事が忙しくなってきたことや他の趣味が増えてきた事もあってか、最終的にはギターを直接パソコンに繋いで音を出したり録音するだけの超ミニマルな構成となりました。しかしここ数年はそれすらすることがなくなり(ギターはたまに弾いて遊んだりしてますが)、完全にパソコンからの音を出すだけの外付けスピーカーと化すようになってしまいました。

それでもノートパソコンや液晶ディスプレイに内蔵されてるスピーカーと比べれば遥かにまともな音質なのでこれといった不満もなく使い続けていたのですが、同僚が自宅のデスクトップオーディオ環境を組んだというのを目にして触発されてしまい、僕自身も 10 年ぶりにオーディオ環境を刷新しようと思い立ったわけです。

オーディオマニアの友人に相談してみる

彼とは高校時代からの付き合いで、当時から本格的なスピーカーやアンプを買い揃えるだけに留まらず、時にはアンプを自作して自宅のオーディオシステムを組むような男でした。社会人になってからも彼の自宅にときどき招かれては立派なオーディオシステムの前に座らせられて 60s や 70s の洋楽ロックを聴かせられたりしてました(しかも行く度に何かしらスピーカーやアンプが違うものに変わってた)。

「いま使ってるスピーカーを新しくしたいんだけど、オススメとかありますかね?」

とだけ伝えたところ、

「DTM やらないならスピーカーだけじゃなくイチからシステムを組み直した方がいいよ。」

との回答が。

曰く、音源(今回はパソコン本体) -> USB DAC -> アンプ -> スピーカー と、複数のオーディオ機器を組み合わせて使うのが音質・拡張性・コストの観点から望ましいとのこと。

自分としてはフルスタックな構成よりもなるべく省スペースなものに収めたいのですが、DAC 内蔵プリアンプやアンプ内蔵スピーカーといった一台で複数の役割を担うものはコストやスペースの観点では優れてる反面、音質がどうしても犠牲になってしまうということで推奨できない。つまり、多機能・省スペースなオーディオ機器で高音質を実現するのはとても難しく現実的ではないとのことでした。なるほどな、分かる気がする。

悩ましいところですが、いま住んでいる家の広さやデスク周りのことを考えるとやはりフルスタック構成は厳しい。今はなるべく身の回りのモノが少ない状態を維持したいので、多機能機器を前提としたシステムにしたい。

なんて都合のいいことを伝えたところで提案されたのが KEF LSX でした。

オーディオファンからの評価も高いワイヤレススピーカー

KEF はイギリスの名門スピーカーメーカー。それまで見たことも聞いたこともない名前でしたが、ヨドバシカメラのオーディオエリアや秋葉原のオーディオ専門店に行くと、普通に JBL や ELAC といった(自分でも知ってる)有名メーカーと並んで陳列されていました。

LSX はそんな KEF が 2019 年に発売したスピーカーで、Bluetooth や AirPlay2 接続に対応したワイヤレスタイプです(もちろん有線接続にも対応)。ワイヤレススピーカーと聞くとアウトドアや寝室等でのちょっとした音出しに使うのがメインで、サイズも小さく音質はショボいのが常識と思い込んでいたのですが、国内外のレビューサイトを読んでみるとどれも高い評価が付いていました。EISA Award という世界のアワードでもワイヤレススピーカーの部門で最優秀賞に選ばれています

要するに音質と省スペースの両立にこだわるあまりに中途半端なシステムを組んでしまうくらいなら省スペースに振り切って、その制約の中で最適なモノを選ぶ方がよっぽど合理的ということなのでしょう。なるほど確かにな。

実際に現物を見ると、それまで使っていたものとほぼ同じ大きさ。デザインは個性がありつつも非常にシンプルで洗練されており、細部まで丁寧に作り込まれているのが分かります。ひと目で気に入りました。

即決で購入した

一応他のワイヤレスシステムも調べて比較検討しましたが、トータルバランスで考えると KEF LSX が最適解と判断しました。特に悩む理由も無かったので即決で購入。

LSX 1

LSX 2

それまで聴こえなかった音が聴こえるようになった

特に低域と高域の解像感がぐっと向上した印象です。今まで何百回と聴いてきた曲から あれ、こんなパートの音なんてあったっけ…? という新たな発見があったのは驚きとしか言いようがありません。もともと使っていたスピーカーも(低価格帯モデルとはいえ)音楽制作用途ということで解像感はそれなりにある方だと思っていたのですが、LSX はそれを遥かに凌駕します。

(聴き入って仕事に集中できなくなるという理由で)最近は自宅でもあまり音楽をかけなくなっていたのですが、購入してからは日中に洋楽ロックをたくさん聴く生活が戻ってきました。そうだよ、僕は Jeff Beck が大好きだったんだ。

完全ワイヤレスのためデスク周りが更にすっきりした

MacBook -> Audio I/O -> スピーカー という有線接続の構成から MacBook -> スピーカー と完全にワイヤレス化したため、デスク周りが更にすっきりと整頓されたのも嬉しいところです。

LSX は左右のスピーカー本体同士もワイヤレス通信のため、基本的に電源以外の配線がありません。素晴らしい。ただし、後述の理由から現状はスピーカー本体同士を LAN ケーブルで接続しています。少々残念ですが、デスクの裏側に上手いこと隠せたのでひとまず良しとしました。

AirPlay2 接続対応でワイヤレス特有の音質劣化もなし

これにより Bluetooth 接続よりも更に高音質での再生が可能となりました。最近は Bluetooth でも音質はかなり改善されてきているようですが、現状は AirPlay2 の方がまだまだ優勢のようです。自分の耳でも Bluetooth だと若干の音痩せが感じられたので、AirPlay2 のみを使っています。

ただし、AirPlay2 は Wi-Fi によるインターネット接続のため、Bluetooth にはない遅延が発生することがあります。基本的にこの点はバッファリング(≒ データの先読み)で回避されるのですが、LSX はそれでも最大 0.4 秒ほどの遅延が起きることがあります。マニュアルによるとこれはスピーカー本体同士がワイヤレス通信してることが原因らしく、双方を LAN ケーブルで接続することで遅延時間を更に短くできるとのことでした。高音質を維持するためなのか LAN ケーブルで接続しても完全に遅延をなくせませんでしたが、体感的にほとんど気にならないレベルまで解消できたので良しとしてます。

そんなわけで KEF のファンになった

本格的なオーディオシステムと比べると全然ですが、現状の自分の趣向や経済面を考えると良い感じの落とし所に落ち着けたと満足しています。今より広い家に引っ越さない限りはこのシステムのままになる気がしてます。良かった良かった。

KEF の他の製品もミニマリズムの極みといった感じでとても美しいです。自分もいつかここの製品で本格的なオーディオシステムを組みたいなぁと思いつつ、製品カタログを眺めています。

ついこの間まで見たことも聞いたともなかったのに、一気に憧れのメーカーという位置付けになってしまいました(わりとミーハー気質です)。