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”良い Les Paul” を求めた結果たどり着いたのが McCarty Singlecut 594 だった話(後編)

"それなりに良く出来た Les Paul コピーモデル" から卒業して "良い Les Paul" を手に入れるべく本家 Gibson の Les Paul モデルを何本か試奏したものの、どれも(充分なクオリティにも関わらず)決め手に欠けて二の足を踏んでしまった僕。

そんな中ふと思い浮かんだのが、Paul Reed Smith(以下、PRS)の McCarty でした。

McCarty は PRS が Gibson Les Paul をオマージュして作ったもの

PRS というと "Fender と Gibson のいいとこ取り" で有名な Custom 24 というモデルが一番有名ですが、この他に McCarty という Les Paul により接近したモデルシリーズがあります。Custom ほど市場に流通していないので実物を目にする機会は限られますが、それでも東京都内の楽器店を巡るうちにいくつかお目にかかれたので試奏してみました。

McCarty 594(アウトレット品)

PRS McCarty 594

某楽器店に 2017 年製の型落ち品がアウトレット価格で売られていました。Gibson の Les Paul でもなければコピーモデルでもない、いわゆるインスパイア系のモデル。にも関わらずこれまで試奏したギターよりも自分がイメージする Les Paul の音色に近くてビックリ。Custom24 は非常に現代的でスッキリした音色なのに対し、この McCarty はとてもコクがある音色です。なんというか "温かみ" のレベルが一段違う。

出音は Gibson カスタムショップ同様ビンテージ志向ですが、こちらの方がより "角が取れている" かのような印象。これに加え、ボディやネックの形状などは現代的にアップデートされているので弾き心地は圧倒的にこちらが勝っています。こんなにも弾きやすいギターは初めてかもしれません。

ひょっとして僕が求めてる方向性ってこっちなのか……?

McCarty Singlecut 594(アウトレット品)

McCarty Singlecut 594

—— もしかしてお客さんが好きなのはコレなんじゃないですか?

そう言いながらお店の方が出してきてくれたもの。たしか 2018 ~ 2019 年製だったと思いますが、このモデルは 2020 年にマイナーアップデートが入っているため、型落ち品ということで(PRS にしては)かなりのお買得価格となっていました。

さきほど弾いたのはボディの形状がダブルカッタウェイでしたが、こちらはシングルカッタウェイ。加えてボディ全体がダブルカッタウェイより厚めに作られているぶん、木の成分が多く出音に影響しているのか先に弾いた方よりも更にコクのある音がします。

現時点で一番好きな音がしました。CD で良く聴いた往年のロックの Les Paul サウンドに一番近いのは、本家 Gibson 製ではなくこれな気がするぞ。

ついに出会ってしまったかもしれない。非常に良い。

が、ボディの色が絶望的に好みじゃない……。せっかく出音は文句なしなのに見た目が受け付けない。安くない買い物なので見た目で妥協したくありません。しかし中古品である以上他の色が欲しいと思っても在庫がなければどうしようもありません。新品にも目を向ければ話は違ってきますが、そもそもの流通量が少ないのでそこまで選択肢は増えません。

見た目の色ならダブルカッタウェイ、音ならシングルカッタウェイ

恐らく Singlecut に出会わなければダブルカッタウェイを買っていたことでしょう(結局優先するのは音より見た目…)。あるいは Gibson カスタムショップの中古品で手を打ったかもしれません。ただしどれもモヤモヤの残る選択。果たしてそれでいいのか。

残念ながらこの日は購入に至らず。

渋谷にて納得のいく 1 本にたどり着く

「御茶ノ水がダメなら渋谷だ」 ということで、日を改めて渋谷で楽器店巡り。

イケベ楽器クロサワ楽器MUSIC LAND KEY を回るも McCarty は 1 本も売っておらず、あるのは Custom と Silver Sky ばかり(いや、Silver Sky はめちゃくちゃ魅力的ですが、今回は完全にスコープ外)。唯一イシバシ楽器に2本ほどありましたが、どちらもターコイズやルビーレッドなど派手な色彩。違う、そうじゃないんだよ。

そうこうしているうちにフラッと立ち寄ったのが、フーチーズ渋谷店という 246 沿いに佇む知る人ぞ知る(?)楽器店。Fender や Gibson といった定番どころのブランドは扱っておらず、陳列されてるものはどれも通好み(?)でマニアックなものばかり。しかし PRS の取り扱いには昔から力を入れているらしく、店内の奥に数本吊るされているのを発見。その中には、幾分か落ち着いたカラーリングの McCarty Singlecut 594 が。

McCarty Singlecut 594 | 2020 | Gray Black(新品)

もしかしたらこの時にあったのは ☝️ で動画で紹介されている個体と同一のものかもしれません。正直なところ一目惚れとまではいきませんでしたが、今まで目にした個体の中では一番好みでした。音や弾き心地が申し分ないのは既に分かっているし、恐らくこれ以上のものにはもう巡り会えないかもしれない。

—— 気になりますか?

「あ、実は McCarty と Les Paul とで迷ってるんです…」

—— ふむ、じゃぁ弾き比べてみましょう。良いレスポールタイプがあります。

Crews LED 1959 Teaburst(新品)

Crews LED 1959 Teaburst

今回僕が手放したモノと同じ Crews Maniac Sound による Les Paul のコピーモデルですが、こちらは木材の質からピックアップまで徹底的に拘って一切の妥協なしに作られた 1 本。他の楽器店では滅多にお目にかかれない逸品ですが、このフーチーズは Crews が運営している店なので、同社のギターが豊富に揃っているというわけです。

ギターとしてのクオリティで言えば、本家 Gibson のカスタムショップ製に匹敵してるのは間違いないでしょう。いや、本家を凌駕してるかもしれません。ボディカラーも最高にイカしてます。

こちらもいわゆるビンテージ志向タイプのため、出音の傾向は本家カスタムショップ製と非常に近いものを感じました。若干こちらの方がパワフルというか倍音成分が強めに出ていたかもしれません。レスポールってこんなにトレブルの主張激しかったんですね?個人的には*「少し出過ぎじゃないか?」*と思えなくもない。そこは弾き手のタッチやアンプのセッティング等で上手いことトリミングすればいいだけの話、ということなのでしょう。よっぽど弾き手の実力が伴っていないとまともに弾きこなせない超上級者向けの 1 本という印象でした(過ぎたるは及ばざるが如し)。

フレットは恐らくミディアムジャンボサイズが使われていたと思われ、その点はとても弾きやすくて良かったのを覚えています。

悩みに悩んだ末に McCarty を選択

結局この日も購入には至らなかったのですが、それから 2 週間以上も悩みに悩んだ末、ついに意を決して購入することを決意。 「既に売り切れてたらどうしよう…」 という不安を胸に店を訪れたところ、無事に残っていたので晴れて購入へと至りました。

McCarty Singlecut 594 - Gray Black

付属のハードケースからして立派過ぎる(そして手がちぎれそうなくらい重い)。

McCarty Singlecut 594 - Gray Black

めちゃくちゃ綺麗なルックスをしています(写真を撮って改めてその魅力に気付く)。

Bird inlay

Bridge

Head Logo

例によって(?)当初の予算を大幅に超過した買い物となってしまいました。どうしてもモノを増やしたくない、というより不要になったものを処分する手間が面倒なのでやりたくない、だからこそ一つのものを長く愛用したいという性分なので、結果として突き詰めてこういった買い物になりがちなんですよね。購入した後で 「やっぱりあっちにしておけばよかった」 となるのが我慢ならない。子供の時からそうなので、多分この先もずっとこうです。

明らかに身分不相応なモノを手にしてしまいましたが、これからたくさん弾き込んで少しずつ自分に馴染ませていこうと思います。ボディはラッカー塗装なので経年変化で少しずつ色褪せてくるらしいですが、それもまた楽しみの一つです。

いい加減ちゃんとギターの練習しよう。