
”良い Les Paul” を求めた結果たどり着いたのが McCarty Singlecut 594 だった話(前編)
今年 4 月末の話になりますが、Paul Reed Smith(以下、PRS) の McCarty Singlecut 594 というエレキギターを買いました。

ちなみに車も持ち家も無い身ですので、今の所これが人生で一番高い買い物となります。
"良い Les Paul" が欲しくなった
エレキギターは高校生の頃からずっと愛用している Stratocaster タイプを 1 本所有していますが、Les Paul タイプも好きなわけです。Cream, Led Zeppelin, Guns N' Roses あたりの曲は、やはりどうしてもストラトじゃなく Les Paul で弾きたい。
ということで国産の Les Paul コピーモデルを買ったのが今から 2 年ほど前。「本家 Gibson 製のは少々大袈裟だし流石にそこまでのものじゃなくていいかな」ということで当時選んだのが Crews Maniac Sound の KTR(Key to the Rock)シリーズでした。

かなりコストパフォーマンスに優れたモデルで暫くはこれを楽しく弾いていたわけですが、だんだんと 「もうワンランク上のに乗り換えても良いかな…」 という欲が沸々と湧き上がってくるように。
気がつけば長引くコロナ禍もあってか殆どお金を使っておらず、ひたすらに積み上がる預金残高を見て 「そろそろ本物の Les Paul 買っちゃうか」 と決心したわけです。
ということで手元にある Les Paul コピーモデルはすぐに下取りへ出すことに。良いギターでしたが、使わないもの・役割が被るものは手元に残さない主義なので、ここは潔く手放します。
いろいろな Les Paul を試奏
デジマートや Gibson 公式サイトを眺めながら気持ちを高揚させつつ、御茶ノ水に何度も通ってはいろいろと試奏しました。
Gibson Les Paul Standard(新品)

最初の候補。一時期はいろいろハイテク機能を搭載したりカラーバリエーションがケバいものばかりにするなど迷走していた Standard シリーズですが、2020 年より往年のルックスと音を取り戻した原点回帰路線へシフトしてるようです。
確かにルックスは往年の雰囲気が程よく再現されており、余計(?)なスペックを全て排除したシンプルな王道のスペックとなっていました。原点回帰路線と言いつつも "ビンテージ志向" というわけではないらしく、音色は輪郭のくっきりとした現代的なトーンです。ピックアップの出力は結構強く、とりわけ高音域成分に鋭さが多い印象。アルコールのピリピリ感が強い若めのウィスキーといった感じ。50s, 60s と 2 モデルあり、個人的には 50s の方が暴れる感じがあって好みでした。
意外だったのが、フレットが相当小さくなっていたという点。楽器店員の方曰く最近の Gibson の傾向らしいのですが、チョーキングがやりづらいためこれは個人的にイマイチ。おそらく購入と同時にミディアムジャンボサイズのフレットに交換することになりそう。
Gibson Les Paul Classic(新品)

"Classic" といいつつも、 Standard には無いコイルタップやフェイズサウンドといったモダンな機能が付加されているのが特徴。一方で電気回路にプリント基板が採用されてたり木材のグレードが一段下げられてるなどのコストダウンが図られています。その分 Standard より幾分お求めやすい価格。音の傾向は Standard とほぼ同じ印象ですが、ほんの少しこちらの方が高出力というかピリピリ感が強い印象でした。プリント基板のため Standard より僅かに音の解像度が落ちているかもしれませんが、パッと聴いた限りでは気付かないレベルです。
悪くないですが、特別惹かれるところもない。"Gibson" というヘッドロゴの存在を除けば手放したコピーモデルと大差ない、むしろ価格差を加味すればあちらの方に軍配が上がっていいとさえ思えます。とりあえず試奏した印象を覚えておきつつ次に向かいます。
Gibson Les Paul 58 Reissue(中古)

—— "良いやつ"が欲しいならこれも見ておかないと
ということで、カスタムショップ製もチェック。ただし新品は Leica のカメラが買えてしまうくらいの価格帯なので、今回手にとったのは中古品。しかも特売価格となっており、通常の中古相場価格よりかなり抑えられてました。それでも新品 Standard の 1.5 倍以上の価格でしたが……。
こちらは先ほど弾いた Standard や Classic と違い、本格的なビンテージ志向モデルなだけあって素人の自分でもハッキリと分かるほどに出音が全く違います。低音域が暴れまくる印象で非常にガッツがある。Standard はピックアップの出力でパワーを稼いでるのに対し、こちらはネックとボディ全体も含め全体で音圧を出しています。低音域だけでなく高音域もかなり強烈に出ているのですが、Standard のようなピリピリとした鋭さは感じられずとても心地良い音です。なんというか全体的にコクのある音ですね。弾いていてとても楽しくなる音。
抱えた際の収まり感、ネックの握り心地も絶妙でとても弾きやすい作りです。中古品なのでフレットに多少の摩耗はあるものの、何故か Standard のときのような違和感はありませんでした。これがカスタムショップの力なのか。
中間振り返り: どれも良いけど今ひとつ決められない
とりあえず 3 本目のカスタムショップ製を選んでおけば失敗しないというのは頭では分かっていました。中古品ですが状態はまずまずでしたし、かなりのお買い得品なのは間違いありません。が、 「これだ!これが欲しい!」 と強く言い切れるかというと、そこまでのものは感じられず二の足を踏んでしまう。なぜだ、Les Paul が欲しかったんじゃないのか?
そんな感じでモヤモヤしつつ(※ でもこうして悩んでる時間もまた楽しい)楽器店をはしごしていると、あることが頭をよぎります。
—— そういや PRS には Les Paul をオマージュしたモデルがあったっけ…? (続く